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ロシアがウクライナに侵攻して、今月の16日で600日になりました。今この瞬間も、戦争による死傷者が出ています。そして今月7日には、パレスチナの軍事組織ハマスが、イスラエルに大規模な侵攻を仕掛けました。それにイスラエルも報復攻撃を始め、毎日たくさんの市民に死傷者が出ています。遠い国の出来事かもしれませんが、赤い血が流れる同じ人間達が殺され続けていることにとても胸が痛みます。一日も早い戦闘の終結を祈るばかりです。
実際の戦争は勿論反対ですが、私の机の近くには、「常在戦場」という書が掲げられています。日米戦争開戦時の連合艦隊司令長官 山本五十六の揮毫によるもので、元々は旧長岡藩(現在の新潟県長岡市)の藩主であった牧野家の家訓で、「常に、戦場にいるつもりでことを成せ」という意味になります。「戦場」は生と死が隣り合わせ、ほんの少しの気のゆるみが命を落とす結果になる場所です。それぐらいの緊張感を持って、仕事に当たっているかと、日々、自問自答しながら仕事に取り組んでいますが、なかなか常に真剣勝負ということもできません。しんどいこともたくさんありますし、頭を悩ませ、考えても考えてもいいアイデアが浮かばず、浮かんでくるのはあぶら汗ばかり、なんてことだらけです。
そこでもう一つ掲げている書が、「心如鐡石」(しんじょてっせき)です。こちらも山本五十六の揮毫で、山本もこの言葉が好きだったそうです。自分の心は鉄や石のように固く、信念に揺るぎがない、といった意味ですが、山本はどのようにして揺るぎのない固い信念、強い精神力を持てたのかと思いを巡らせます。いや、もしかしたら、強い精神力を持つのが難しいからこそ敢えて、この言葉を常に意識し、自分の心の弱い部分と向き合ったのかもしれません。それであれば、私がこの書を近くに置いて、己の弱い心を奮い立たせるために使っても山本五十六も怒らないだろうと思い、毎日眺めています。
山本の連合艦隊司令長官の着任日は、ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発したまさにその日でした。海軍の現場部隊のトップという彼の職責を考えれば、かなりの精神的重圧を感じたはずですし、そこには不安も恐怖もあったでしょう。それと比較すればはるかに楽かもしれませんが、会社を経営していくことも、常に不安や恐怖との戦いです。「人間の偉大さは恐怖に耐える誇り高き姿にある」とは、ギリシャの哲人プルタルコスの言葉です。己の弱さと向き合い、勇気を奮い立たせ、鉄の心を持って常に戦場にいるかのような緊張感で職務に向き合い、責任を全うする。できればそこに一輪の花を添えて。
「仕事は明るく楽しく真剣に」来月もどうぞよろしくお願い致します。
株式会社 藤政工業
代表取締役 藤代政宗